遺言2019~2020年の7つの法改正について解説!

2019~20年は遺言について大きな改正が7つ!あります。1つ1つ見て行きましょう。

1 自筆証書遺言の方式緩和 2019/1/13~

財産目録については手書きで なくても良くなりました。

民法第968条第1項に自筆証書遺言をする場合、以下2点を定めています。

①遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自書(自ら書くこと)し

②これに印を押さなければならない

今回の改正によって同条第2項が新設され、例外的に、自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録を添付するとき,その目録は自書しなくてもよいことになりました。その場合、遺言者はその財産目録の各頁に署名押印をしなければならなりません。

2 配偶者居住権の新設 2019/4/1~

配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合、配偶者は配偶者居住権を取得することにより終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができるようになります。

EX.)相続人が妻及び子の二人,遺産が自宅(2,000万円)、預貯金(3,000万円)の場合
従来→妻と子の相続分 = 1:1(妻 2,500万円 子 2,500万円)

改正後→自宅を住む権利と所有する権利にわけます

    妻 :配偶者居住権(1,000万円)+預貯金1,500万円

    子 :負担付き所有権(1,000万円)+預貯金1,500万円

配偶者居住権の価値評価 http://www.moj.go.jp/content/001263589.pdf

3 婚姻期間20年以上の夫婦の居住用不動産の贈与に対する優遇2019/7/1~

従来は増与された不動産が相続財産になっていましたが、相続財産から除外されることになりました。

EX.) 相続人 配偶者と子2名(長男と長女)
遺 産 居住用不動産(持分2分の1) 2,000万円(評価額)
    その他の財産 6,000万円
配偶者に対する贈与 居住用不動産(持分2分の1) 2,000万円

住来→配偶者の取り分は、生前贈与分についても相続財産とみなされるため、
(8,000万+2,000万)×1/ 2− 2,000万= 3,000万円となり、最終的な取得額は、3,000万+ 2,000万= 5,000万円。

改正後→生前贈与分について相続財産とみなす必要がなくなり、配偶者の遺産分割における取得額は、8,000万×1/ 2= 4,000万円となり,最終的な取得額は4,000万+ 2,000万= 6,000万円となる。

4 被相続人の預貯金の払い戻しが可能に 2019/7/1~

各相続人は遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることができます。

従来→生活費や葬儀費用の支払など資金需要がある場合でも,遺産分割が終了するまでは、
被相続人の預金の払戻しができない。

改正後→

預貯金債権の一定割合(金額による上限あり)については,家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払を受けられるようにする。

(相続開始時の預貯金債権の額)×1/3×(共同相続人の法定相続分)=単独で払戻しをすることができる額

EX.) 預金 600 万円、相続人2人の場合 → 長男 100 万円払戻し可
 ※ただし,1 つの金融機関から払戻しが受けられるのは150万円まで

*150万を超える場合は家庭裁判所の判断を経て仮払いを得ることが可能です

5 遺留分制度見直し 2019/7/1~

① 遺留分を侵害された場合、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。

② 遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合、裁判所に支払期限の猶予を求めることができます。

EX.)経営者であった被相続人が,事業を手伝っていた長男に会社の土地建物(評価額1億1,123万円)を,長女に預金1,234万5,678円を相続させる旨の遺言をし,死亡した(配偶者は既に死亡)。遺言の内容に不満な長女が長男に対し,遺留分減殺請求

長女の遺留分侵害額1,854万8,242円=(1億1,123万円+1,234万5,678円)×1/2×1/2−1,234万5,678円

改正後→遺留分減殺請求によって生ずる権利は金銭債権となり、会社の土地建物が長男と長女の複雑な共有状態になることを避けられます。長女は長男に対し,1,854万8,242円 請求できます。

6 特別寄与制度創設 2019/7/1~

相続人以外の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合、相続人に対して金銭の請求をすることができるようになります。

従来→亡き亡き長男の妻がどんなに被相続人の介護に尽くしても、相続人ではないため、被相続人の相続財産の分配にあずかれない。

改正後→長男の妻は,相続人(長女・次男)に対して,金銭の請求をすることができます。介護等の貢献に報いることができ,実質的公平が図られます。

7 法務局で自筆証書遺言保管 2020/7/10~

自筆証書遺言を作成し、本人が遺言書保管所に行き、遺言の保管を依頼できます。本人が行くく必要がありますが、裁判所の検認は不要となります。*封をしてはいけません

東京都は2020/6月現在、本局、板橋出張所、八王子支局、府中支局、西多摩支局の4か所で補完を受付けます。

相続人は被相続人死亡後、遺言書保管所で、遺言書が保管されているかどうかを調べ、遺言書の写しの交付を請求し、遺言書を閲覧することができます。手数料が必要です。

従来自筆証書遺言を書いても、相続人は被相続人が遺言書を書いたかどうかわからない、保管場所がわからない、という不具合がありました。今回の改正で遺言書があるかどうかを法務局に確認できるようになりました。

遺言の内容につてもめそうな場合は従来どおり、公正証書遺言がお勧めです。法律専門家である公証人が関与し、2人以上の証人が立ち会うなど厳格な方式に従って作成され,公証人がその原本を厳重に保管するという信頼性の高い制度です。