外国人雇用のコンプライアンス

あなたの会社は外国人を不法就労させていませんか?

外国人労働者数は2017年、前年同期に比べて18%増えて約127万8600人と過去最高を記録!

しかし!!

外国人の不法就労も増えています。

不法就労の4ケース
1.在留期限が切れているのに働いている
2.働く在留資格がないのに働いている→短期滞在など

3.持っている在留資格の範囲を超えて働いている
→コックなのにホールで働いている
→留学生なのに週28時間を超えて働いている

4.偽変造の在留カード等を行使して就労

外国人を不法就労させた場合
不法就労助長罪:三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金(入管法第七十三条の二)
*この罰則の恐ろしいところは、過失がない限り知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができないことです。
この外国人の在留資格に該当しないとは知らなかった、在留期限があると思っていた、ではすまされません。(◎_◎;)
~不法就労助長罪の事例~ 2018年3月
福岡のとんこつラーメンチェーンで
①ベトナム人留学生が除籍になった後も就労を続けていた
②留学生を週28時間を超えて働かせていた
として社長、労務管理担当責任者、店長など7人が書類送検された

外国人雇用の際の7つの注意点

1 在留カードで在留資格と期限を確認する

①在留期限内であるかどうか

在留期間が過ぎていた場合、その外国人は不法滞在となり、退去強制の対象となります。せっかく雇用契約を交わしても不法滞在であればいつ警察に捕まって仕事ができなくなるかもしれません。

安定的な労働力を確保したい事業主としては

  • 不法滞在の外国人を雇っていたという罪
  • 労働力がいきなり無くなる

という二重苦にさらされてしまいます。

万一不法滞在者を雇用したり、不法就労をさせた場合、3年以下の懲役若しくは3百万円以下の罰金に処せられます(入管法第73条の2)。

②就労制限の有無で就労不可になっていないか

→就労制限なし→どのような仕事でも可能
→就労不可→裏面資格外活動許可欄を確認 許可→28時間以内の風俗営業を除く仕事ならOK
→資格外活動許可書記載範囲内の仕事ならOK
空欄→就労不可
→在留資格に基づく就労活動のみ可*1
→指定書により指定された就労活動のみ可→パスポートに添付された指定書を確認

2.就労可能な在留資格か

在留資格には全28種類あり、以下の3種類に分類されています。

在留資格 できる仕事
  • 「永住者」
  • 「日本人の配偶者等」
  • 「永住者の配偶者等」
  • 「定住者」
どのような仕事に就くことも可能です。資格外活動の時間制限も、風俗営業もできますので、偽装結婚が多いという問題につながります。
  • 「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」
  • 「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」・「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」
  • 「企業内転勤」「興行」「技能」「技能実習」「介護」
在留資格の範囲内の仕事しかできません。仕事内容が限定されています。
  • 「文化活動」
  • 「短期滞在」
  • 「留学」
  • 「就学」
  • 「研修」
  • 「家族滞在」
原則として仕事をすることができません。ただし、資格外活動許可を持っていればアルバイトをすることができます。
※資格外活動許可書をもっていても、どんな仕事でもできるわけではなく

  • 1週間28時間以内(長い休暇は除く。聴講生、研究生、就学生はより短時間)
  • アルバイト先が風俗営業でないこと

が条件です。

*外交官、大使館・国際機関勤務の人は在留カードを持っていない場合がありますが、働けます。

3 活動内容が御社の仕事とあっているかチェックする

4 雇用契約書の締結

賃金、労働時間、労働期間等適正な労働条件を明示した契約書を交付し、税金、雇用保険料について外国人労働者が理解できるよう説明する。

※退職の際、残業手当てなどについてもめるケースが増えているようです。一般的に外国の方は主張するところはしっかり主張しますので、残業、休暇、労働時間など、あらかじめきちんと説明し、契約を交わした方が後々のトラブルを防ぐことができます。

5 入管への就労ビザへの変更または届

・留学生を新規採用の場合→在留資格変更申請

・既に就労ビザを持っている外国人を採用→就労資格証明書取得もしくは所属機関、契約機関の届を入社後14日以内に入管へ届け出

http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/zairyukanri/shozokunikansuru.html

6 外国人雇用状況の届出

2007年10月1日より施行された改正雇用対策法により

  1. 外国人の雇用、離職に際し、氏名、在留資格、在留期限を 公共職業安定所長に届出
  2. 外国人の雇用管理の改善、再就職援助が努力義務

になりました。

①は雇用保険に加入していれば採用は翌月10日まで。離職は離職翌日から10日以内に届が必要です。雇用保険に加入していなければ、採用、離職ともに翌月末日までにハローワークへ届出が必要です。外国人雇用状況の届出

*「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、 外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です!

  • 届出を怠ると、30万円以下の罰金が科されます。

7 雇用保険、労災、社会保険への加入

外国人だからと言っても、労働法は日本人と同じく適用されます。
きちんと雇用保険に入っていれば、外国人の方も失業手当をもらえる場合がありますし、年金保険には脱退一時金制度があり、年金を6ヶ月以上納めていた外国人の方は、平成29年3月以降、転出届を市区町村に提出すれば、住民票転出(予定)日以降に日本国内での請求が可能となりました。

外国人の中には年金保険は掛け捨てになると誤解したり、保険料の自己負担分を嫌って加入をしたがらない例があるようです。しかし、

  • 平成29年8月から老齢年金の受給資格期間が10年に短縮
  • 日本と年金通算協定締結国の年金加入期間のある方は、年金加入期間を通算して、年金を受け取ることができる場合がある

ため、入らないことが逆にデメリットになる場合もあります。

8 「留学」や「家族滞在」の週28時間以内を適切に管理する

9 中長期在留者の受入れに関する届出(努力義務)

就労資格を持つ外国人を雇用している事業主は、外国人を雇用、解雇した場合、14日以内に

中長期在留者の受入れに関する届出を入管に出す努力義務があります。

届出を出さなくても刑罰を科せられることはありませんが、次回申請時に入管が事実関係の確認を行うことがあります。

在留資格とは?ビザVISAとの違いは?

日本はどのような外国人でも受け入れているわけではありません。高度な技術を持った外国人のみを受け入れ、単純労働する外国人を受け入れないようにしています。
そのため在留する外国人の在留資格を27種類に細かく分類し、就労の在留資格に関しては、その仕事以外しないように規制しています。

ビザとは外務省が発行するもので、その人が日本に入国するための推薦状のようなもので、入国を保証するものではありません

過去の事例

case1 中華料理のレストラン。立ち上げたばかりですが、中国人コックを招聘できました。
case2 韓国との貿易会社に転職したKさん。通訳と「国際業務」で在留資格を更新できました。
case3 製造会社で中国にも工場を設置したばかりの会社で働くことになった中国人Oさん。「留学」から無事に在留資格変更できました。日本のラーメンが好きだそうです。
case4 芸能マネジメント会社が海外から管理者を「人文知識」で呼ぶことに。決算に難がありましたが、無事招聘できました。コンサートにも呼んで頂き、嬉しいかぎりです。
case5 「宗教」の在留資格を持つ方を雇えるかと、制作会社から相談。話を伺うと納得できる理由で在留状況も良かったため、短期で在留資格変更許可が出ました。

入管に届け出が必要な場合とは

◆事業主の方

就労資格を持つ外国人を雇用している方は、外国人を雇用、解雇した場合、14日以内に

中長期在留者の受入れに関する届出を出す努力義務があります。届出を出さなくても刑罰を科せられることはありませんが、次回申請時に入管が事実関係の確認を行うことがあります。

◆外国人の方

以下の場合は入管に14日以内に届出を行う必要があります。ただし、2012年7月9日以降に上陸許可,在留資格変更許可,在留期間更新許可等を受けた方に限ります。
1.活動機関に関する届出
「教授」「高度専門職1号ハ」「高度専門職2号(ハ)」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「教育」「企業内転勤」「技能実習」「留学」「研修」の在留資格を持つ方

→活動機関の名称・所在地に変更が生じたとき,

→活動機関の消滅,活動機関からの離脱・移籍があったとき

2.契約機関に関する届出

「高度専門職1号イ」「高度専門職1号ロ」「高度専門職2号(イ又はロ )」「研究」「技術・人文知識・国際業務」「興行(雇用契約を締結する場合に限る)」 「技能」の在留資格を有する方

→日本にある契約機関の名称・所在地に変更が生じたとき

→契約機関の消滅,契約機関との契約の終了・新たな契約の締結が あったとき

3.配偶者に関する届出

「家族滞在」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格をもち,配偶者としての身分を有 する方

→その配偶者と離婚又は死別した場合

Q&A

◆海外にいる外国人を日本に呼び寄せて採用したいが、手続きは?

2通りの方法があり、比較的短期でできる②が一般的です。

①海外の在外公館に外国人本人がビザ発給申請を行い、ビザを受けてから入国する方法

※在外公館から日本の雇用主へ雇用の意思を確認するので時間がかかります。

②日本で雇用主が地方入国管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行う。
・交付を受けたら外国人に送付、それをもって外国人が在外公館(外国の大使館)にビザ申請し来日する方法

※在外公館で処理できるため、認定証明書を添付すればビザは1週間程度でもらえます。

認定証明書の交付申請に必要な書類は概ね以下のとおりです。

  • 雇用契約書
  • 会社案内、登記簿謄本
  • 会社の決算書
  • 外国人の履歴書
  • 外国人の写真1枚(4cmx3cm)
  • 外国人の卒業証明書、職歴証明書等
  • 外国人のパスポートコピー

◆外国人を通訳として雇用しようとしたら、在留資格が「短期滞在」であった。在留資格の変更は可能か?

「短期滞在」では働くことはできませんし、「短期滞在」から就労への変更はできません。日本の雇用主が「人文・国際」等の認定証明書を申請し、許可が出てから、外国人の本国の在外公館にその認定証明書を添付の上、ビザ申請をし、発給を受けて入国すると良いでしょう。

◆どういう仕事であれば外国人を雇うことができるのか?

単純労働(ウェイトレスや建設労働者)ができるのは

  1. 資格外活動許可を持っている外国人
  2. どのような仕事に就くことも可能な人
    (在留資格が「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の人))
  3. 職種によって「技能実習」「外国人調理師」

に限られます。

①の人は仕事は風俗営業以外なら何でもできますが、週28時間以内の仕事しかできません。

しかし、正社員あるいは週28時間以上働かせたいとなると単純労働ではVISAを得ることができません。何故なら日本はスキルの高い外国人は受入に積極的ですが、単純労働者の受入は認めていないからです。(日本だけではなく、諸外国も一定の受入条件を自由に定めています。)

スキルの高い外国人とは

  1. 通訳、翻訳などその国の人でなければできないスキルのある人
  2. 大卒で大学で選択した科目と関連ある仕事につく人
  3. 10年以上の実務経験のあるコックさん

などです。誰でも入国させて良い理由は勿論ありませんが、運送、飲食、建設業界から人が集まらないと耳にしますし、コンビニや居酒屋で働く外国人が多い実態から、法が現在の日本の実態と合っていないのも事実と思います。

*よく、この人はとても良い人だし、よく働くからVISAを取ってあげたい、という相談を受けます。が、単純労働でよく働く、という理由だけではVISAは取ることができません。本当にその方のことを考えるなら、ある一定以上のスキルや経験をまずはつけさせてください。

◆「留学」在留資格をもつ外国人をアルバイトとして雇いたいが、可能か?

その外国人の方は資格外活動の許可を受けていますか?。受けていれば、可能です。
在留カードの裏に就労可の記載があるか確認してください。また、以下2つの条件を満たすことが必要です。

  • 1週間28時間以内(長い休暇は除く)
  • アルバイト先が風俗営業でないこと

万一不法就労をさせた場合、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。(入管法第73条の2)

*1か所で週28時間だが、それを掛け持ちする留学生や家族滞在の人が多くいます。更新申請はほぼ不許可となりますので、ご注意ください。

◆家族滞在から定住に変更できるか?

現在家族滞在の在留資格を持っており、日本の高校を卒業し、義務教育の大半を日本で修了したこと、などを要件に定住に変更できる場合があります。

◆外国人を看護師として病院で働かせることは可能か?※2006年3月30日より改定

  1. 看護師として日本人が受ける報酬と同等額異常の報酬があること
  2. 日本の看護師免許があること
  3. 准看護師は免許を受けた後4年以内、研修として業務を行うこと
    を条件に働くことができます。

◆行政書士に頼むメリットとは?

  • 本人に代わって入管へ申請ができ、時間が節約できる。
    日本に在留する外国人は各種申請を行う際、本人自ら地方入国管理局に出頭して申請書類を提出しなければならないとされています。これは申請する外国人の同一性と申請意思を確認し、申請の結果を本人に確実に伝えるためです。しかし、出入国管理業務の知識を有する行政書士は本人に代わって申請ができ、本人出頭が免除され忙しい方の時間の節約となります(出入国管理施行規則第6条の2)。
  • 入管専門行政書士は様々なケースにあたっているので、適切に必要書類、聞くポイントがわかる。
  • ビザ以外のことも相談できる。
    新規事業の許認可申請、各種契約書の作成、とにかくどこに相談すれば良いか不明なときはご相談ください。いろいろな相談がくるので他士業の先生等最適な人をご紹介できます。

    1.  官公署に提出する書類の作成と提出手続き代理
    2.  権利義務又は事実証明に関する書類の作成
    3.  ①②につき相談に応じること

ができるからです。(行政書士法、第1条の3)

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