今回の入管法改正は偽装難民を廃除し、本当の難民の審査を早くするための改正であり、収容施設で亡くなったパキスタン女性の話とは切り離して考えるべきと考えます。
事実:偽装難民が難民申請の97%を占めている
・難民申請者の多くが,大量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国々からの申請者である
・申請者の申請時における在留状況は,
観光等を目的として入国した「短期滞在」が6,91 9人,
「技能実習」が634人,
(何らかの申請をして不許可になったため)自ら出国する意思を表明し,出国準備のための期間として在留の許可を受けた「特定活動(出国準備期 間)」が1,097人,
「留学」が824人,
難民認定申請を繰り返す「特定活動 (難民認定申請中)」が197人と難民申請総数の97%を占めています。
令和元年における難民認定者数等について 入管庁HPより抜粋http://www.moj.go.jp/isa/publications/press/nyuukokukanri03_00004.html
私の経験:
入管業務を長くしていますが、民主党政権時、難民申請中の外国人を就労可能にしたことで偽装難民が一機に増えました。
・日本で難民申請すれば働けると聞いたから短期で来て難民申請した
・技能実習や留学は働く場所や時間が決まっているけど難民はほぼ就労制限がないので難民申請した
・変更や更新が不許可になったから難民申請します
という話をお客さんや同業者からたくさん聞きました。
難民申請の理由も借金して国に帰れない、等が多かったと聞きます。
明らかに難民でないものや、留学、技能実習など当初の目的を変えての難民申請は
申請時にはじけばよいのに、と思ったものですが、現行法ではじけなかったのでしょう。
入管が難民申請中も基本的に就労できなくしたために平成29年からガクッと難民申請が減りましたが、現行法のままでは減ったとはいえ、日本で働きたいという理由で難民申請を繰りかえす偽装難民を排除できません。
それが本当に救済すべき難民の審査を遅らせることになっています。
また、難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた「定住」者も一定数います。難民認定数には入っていませんが、その人数も考慮すべきでは、と思います。
事実の続き:
「難民認定申請案件の振分け状況は,
A案件(難民である可能性が高いと思われる 案件又は本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる案件)が 83人,
B案件(難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している 案件)が281人,
C案件(再申請である場合に,正当な理由なく前回と同様の主 張を繰り返している案件)が409人,D案件(上記以外の案件)が9,602人 となっています。」