モンゴル人に聞く羊を捌く時の文化

以前聞いた話で、モンゴルのお相撲さんが相撲部屋に入った時、彼の実家から羊一頭が送られてきて女将さんが驚き、自ら羊を解体したことにまた驚いた、ということがありました。

そこで、実習生に羊を自分で解体できるかどうか聞いたところ、2/3ほどの男性が手を上げました。

そしてその一人が言うには、

「羊を解体するときは羊を上に向ける。その理由がモンゴル文化を良く表していると思うので、先生に知ってほしい。羊はずっと下を向いて草を食べている。だから死ぬときに初めて上を向かせ、空を見せてあげる。すると羊が喜ぶ。喜びながら死ぬ羊の肉は美味しくなる。その肉を食べることで羊の栄養を余すところなく我々も吸収できる」

ということでした。

それはハラル食にも通じるかもしれません。イスラム教徒の人はハラル食でないと食べないし、豚も食べません。以前マレーシアで豚肉をレジに持っていったら、レジの人に嫌そうな顔をされました。ハラルとそれ以外でスーパーのレジが別であることを私が知らなかったためです。

ハラル食とは、豚以外の家禽を殺す時、苦痛を与えないよう、また祈りを捧げながら殺したもののみがハラル食と言える、と聞きます。

当時は何故そんなことを、と思っていましたが、モンゴルの人の話を聞いて腑に落ちました。
10年前は殆ど無かったハラル食ですが、今では限られたお店とはいえ、日本でも買えるようになっています。

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1人の技能実習生が重量挙げが得意、とのことで休み時間にその時の動画を見せてもらい、すごーいと皆でわいわい言っていたら、それ以外の人が「私達も各自得意なことはあるのに、すぐ見せられないために、彼だけがすごいように思われる」と言い出しました。

殆ど20代の実習生だったので、可笑しく思いながら

「そうですね。皆も得意なことをすぐ紹介できるように写真や動画を撮っておくと良いかも。これから会社に入って会社の人と接するけど、会社の人は皆が何が得意がわからないし、ひょっとしたらそんな話もしないかもしれない。
でも皆から私はこういうことが得意です。と言って会社の人に動画を見せたら、会社の人とも早く打ち解けられ、仕事もスムーズに運びやすくなると思います」

と伝えました。

そして、いつも実習生に最後に伝えるのは3つ

1 仕事だけではなく、日本にいる間に日本の文化や漢字にも興味を持っていろいろ体験して ほしい
2 会社の人も皆とチームとしてやっていきたいと思っている。怒られることもあるだろうけど、わからないことは聞き、ほうれんそうをしっかりするように
3 3年後病気や怪我をすることなく、元気な体で家族の元に帰ってほしい

本音と建前が乖離する技能実習制度ですが、それを変えるには法改正が必要。
法改正の前に労働力として受け入れたからには、日本のファンになって本国に帰ってほしいと願います。それは実習生だけではなく、すべての来日した外国人にも言えます。

なので、在留期限が切れたからといってすぐ銀行口座を凍結されたり、家を借りるのが難しいという外国人も減らしたいと思います。

勿論、マナーの悪い外国人も中にはいて、そのために賃貸取引など敬遠する方も多いかと思いますが、外国人という先入観を持たず、一人の人間として判断する方が多い世の中であって欲しいと願っております。

日本語・文化を習得した留学生を帰国させるなんて勿体ない?

留学生がコロナで求人が減り、就職できず、「特定活動」1年もらっても就職できず友人数人帰国した、という話を聞きました。

非常にもったいない話だと思います。

何故なら
・留学生はお金を払ってまで日本で学びたいというもともと日本好き
・いきなり来た外国人はゴミの捨て方が悪い、夜中まで騒ぐなどで、不動産を借りられないこ  ともあります。が、留学生は少なくとも日本語学校から専門学校と、最低4年は日本にいて日本語・日本文化ともにしっかり身につけている。

技能実習や特定技能で来日する外国人はN4,N5(日本語検定4、5級)が多く、たま~にN3がいるくらい。
一方留学生は、中国・韓国はN1、N2。それ以外のアジア圏はN2、N3が多いです。

私たちがタイ語、インドネシア語、ネパール語などを見て理解できますか?
中国語ならまだなんとか意味は推測できるかもしれませんが、あのくねった文字を母語とする人が日本語を勉強し、読み書きできるようになるなんて、すごい努力だと思います。

技能実習や特定技能であまり日本語を話せない人をび寄せるぐらいなら、日本にいる留学生を帰国させる前に、どんな職業でも良いから就職したら在留資格を認めてあげようよ、と言いたいです。

それなら特定技能を取れば良いんじゃ、という話もあると思いますが、以下が現実に即しません。
・特定技能は職種が限られていること
・特定技能は初めて来日する人を対象としているため、支援が必要なく、無駄な支援をしないといけないいこと

留学生はコンビニや飲食店でアルバイトすることが多く、そのままそこに就職したいという人も多いです。飲食店は特定活動でカバーできますがコンビニはカバーできません。
留学生はたとえ最初は単純労働に就いたとしても、見知らぬ国に来て留学するくらいですから必ずいつかは単純労働から脱却すると思います。

せっかく来日した日本のファンをそのまま日本のファンで居続けさせて欲しいと思いませんか?

技能実習生は家族をよべないけどこんな解決方法があった(笑)

日本の貴重な労働力として活躍する技能実習生。建前は国際貢献ですが、本音は労働力不足の補完であることは誰もがわかっているところ。

その本音と建前を近づけるべく「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」も2022年12月14日初めて開催されました。

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議ー出入国在留管理庁https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00033.html

法律の世界は有識者会議、パブコメ、議会の承認などステップが多すぎて(多すぎることは悪いことではないですが)、まとまるのはいつになることやら。
法律が現実の後追いになることはしょうがないことです。

でも技能実習生たちはたくましかった。

来日したばかりの技能実習生に「彼女と5年も別れて暮らすなんて寂しいよね」と言ったところ、彼女も技能実習生として来日しているそう。兄弟も技能実習生として他県にいる、という話も最近ちらほら聞きます。

なるほど!その手があったのね(笑)

「技能実習」と「特定技能1号」は、家族を日本に呼べません。
SNS で何時でも繋がれるとはいえ、実際に会うのとスマホ 越しでは違うと思うけど。
実際個人的にはZoom 会議や Zoom 飲み会は会議の結果や楽しさが実際に会うのに比べ、半減以上だと思います。

仕事が辛い時、落ち込んだ時、配偶者にそばにいて励ましてもらうと明日の活力は全く違ってくるだろうし、例えば失踪しようと思った時に一緒にいれば異変にいち早く気づき、それを止めようとするのも配偶者でしょう。

だからといって技能実習や特定技能1号にすぐに家族帯同を認めて、というわけではありません。3年なら我慢できるけど、技能実習3号まで行く5年、技能実習から特定技能1号に移行した場合8年も家族帯同できないのはいくら何でも長すぎでしょう、と思います。

大体日本は感情で物事を決めすぎます。
オーストラリアのように毎年のように統計を取って現状を反映した数字から政策を決めるべきだと思います。

・技能実習生でも家族を呼ぶことによって労働力を向上できるのか
・技能実習生同士の子供が生まれることで日本の活力が向上するのか
・家族を呼ぶことで社会保険等の負担はどれくらい増えるのか
・そもそも技能実習生等と日本人との社会保障は一緒で良いのか
・家族を呼ぶことで逆に日本のIT 化やロボット化などの変革が遅れないか
・家族と一緒にいることで仕事の効率がどれくらい上がるか

などきちんと調査し、統計をとって、技能実習や特定技能に家族帯同を認めるかどうか政策に反映してほしいと思います。

ネパール人コックさんの3つの悩みー社会保険、日本語、子供の教育

ネパール・インド料理店は今ではあちこちで見られるようになっており、ランチにカレーを選択するのはごく一般的になっています。
私もチーズナンは大好きです💛し、いつも行くお店のコックさんはいつもにこやか。
しかしコックさんにいろんな悩みがあることは知られていません。

ビゼイ・ゲワリ氏著 「厨房で見る夢 在日ネパール人コックと家族の悲哀と希望」では
ネパ―ルのコックさんは言葉、教育などの問題に直面しているようです。

私のネパールのお客様社長たち(カレー店経営)は社員を家族のように遇しているので、私もあまりコックさんの悩みを実感したことはありませんでした。
が、最近実感することがありました。

日本にいるコックさんを雇いたいが、コックさんの在留資格更新が不許可になった。助けてほしい、という社長からの依頼がきっかけです。

短い期間に転職を繰り返しているコックさんでした。コロナのせいもあります。コロナのせいで客足が落ちたからやめてくれ、と言われたそうです。
「技能」の在留資格を持つコックさんは、コックさんしかできないので、一生懸命求職活動をしても飲食店に自粛要請が出ている時は職を見つけるのは難しかったでしょう。

それでも何とか持ちこたえて、次の職場を見つけた時は退職してから3カ月以上が経っていました。
でも日本にいる外国人は3ヶ月以上その在留資格の仕事をしていないと、在留資格取消しの対象になります。
そこで新しい採用主が、無職が長いと入管の許可がおりないから別の会社に勤めていた事にしようと、嘘の職歴を追加してしまったのです。

大抵のネパールのコックさんは書類を作成してくれるネパール人の業者のような人に書類作成を依頼するそうです。なのでコックさん自身は自分の経歴がどうなっているかよくわからず、よくわからないけれども許可が出ればいいやと思っている節があります。

コックさんがこのようになる原因は以下だと思います。
1 コックさんは社会保険に入ることを嫌がる。自分の手取りが減るから。
→雇用保険の対象とならない

2 日本語が話せる人が少ない
厨房にずっといるから話せないのかと思っていましたが、オーナーがコックさんは日本語が話せない方が御しやすい、転職もしないということで話す機会を上げないという側面も。
→いろんな情報が入らずオーナーの言いなりになる
→子供の教育にも悪影響
 親が日本語を話せないため、子供の宿題や学校の連絡などを見てあげることができずこどもが学校の勉強についていけない

オーストラリアの統計では英語を話せる移民の方が英語を話せない移民より所得額が高いという結果が出ています。
また日本がバブル期に大量の日系人をブラジルやペルーから労働力として呼び寄せました。
が、バブルが崩壊したら日本語が喋れない日系人が多かったため、転職がままならず、
本国に帰還せざるを得なかったこともあります。
また日系人のこどもがやはり日本語が話せず、学校についていけずたむろして良い仕事も見つからず、悪い仕事に手を染める、という悪循環も問題になりました。

従って、語学はその国に定住し、給与を上げていくためには必須と言えるでしょう。
そしてネパールの子供が第2の日系人になるかもしれない現状があります。
もしあなたの近くに外国籍の子がいたら、あるいはインド・ネパールカレーを食べるときに
そんな実情があることを少し考えてみてもらえると嬉しいです。

ネパールの子が単に日本を通過するだけの人になるか、悪に染まってしまうか、あるいは日本の貴重な労働力になるか、は私達も決めるのだと思います。

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