2022~2024年の入管の変更点まとめ

入管法の変更がめまぐるしいです。法が現実に遅れがちなので、このスピード感はとても良いと思います。追いつくのが大変なので、まとめてみました。ご参考になれば幸いです。

1.専門学校生に対する「技術・人文知識・国際業務」取得の運用の緩和 2024/2~
2.特定活動告示46号の対象拡大 日本語1級を持つ日本の大学卒業者 2024/2~
3.日本の大学を卒業後に大学院への進学が決定した留学生へ新たな「特定活動」を付与
4.日本語教育機関(日本語学校)留学生への卒業後の就職支援強化
5.特別高度人材制度(J Skip )/高度専門職の導入
6.未来創造人材制度(J Find )/特定活動の導入
7.デジタルノマドの新設

1 専門学校生に対する「技術・人文知識・国際業務」取得の運用の緩和

専門学校生が在留資格「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合、専攻と業務の関連性が相当程度必要であるため就職先が限定されていた。

→一定の要件を満たした専修学校専門課程の学科(※)を修了した留学生については、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更時における専攻科目と従事しようとする業務の関連性について柔軟に対応し、大学等卒業者と同等の取扱いとした。

*専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラム
の認定に関する規程(令和5年文部科学省告示第53号)」第2条に定める文部科学
大臣による認定を受けた専修学校の専門課程の学科を修了した者

また2024年改正ではありませんが、ファッションデザイン教育機関)の特定の専攻科コースを卒業した人が、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格へ変更する場合には、専門士が不要となるケースがあります。

2 特定活動告示46号の対象拡大 日本語1級を持つ日本の大学卒業者

対象は日本の大学または大学院卒業者に限定されていた。

→・日本の短期大学、高等専門学校を卒業し、学士の学位を得た人
 ・日本の専修学校の専門課程の学科(認定専修学校専門課程)を修了し、高度専門士の称号を得た人も対象に入りました。

1.2は留学生の就職支援のためです。

3 日本の大学を卒業後に大学院への進学が決定した留学生へ新たな「特定活動」を付与 2023/ ~

対象:①大学を卒業後、大学院への進学が決定している留学生
②継続就職活動を目的とする「特定活動」の在留資格で在留する元留学生

入学時期が現在の在留資格「留学」又は「特定活動」の在留期間満了後である人が、大学院への入学までの間滞在することを可能としました。

4.日本語教育機関(日本語学校)留学生への卒業後の就職支援強化

海外の大学又は大学院を卒業し、一定の要件を満たす日本語学校に留学している人が、日本語学校卒業後、継続して就職活動を行うことを希望する場合は、就職活動を行うための在留資格(特定活動、在留期間は6月)への変更ができます。

留学生の要件

①海外の大学等を卒業等し、学士以上の学位を取得していること。
②在籍していた日本語学校の出席状況が9割以上であること。
③就職活動を継続するための経費支弁能力があること。
④日本語学校在籍中から就職活動を行っていること。
➄日本語学校と卒業後も定期的に面談を行い、就職活動の進捗状況を報告し、日本語学校から就職活動に関する情報提供を受けること。
⑥日本語学校から推薦状を取得していること。


5.特別高度人材制度(J Skip )/高度専門職の導入

高度人材に該当する人が、さらに学歴又は職歴、年収が一定の水準以上であれば「高度専門職」の在留資格を付与し、“特別高度人材”として現行よりも拡充した優遇措置を認めることになりました。

出入国在留管理庁HPより

①高度専門職の3類型

(1)「高度学術研究活動」 : 大学の教授や研究者等)

(2)「高度専門・技術活動」:企業で新製品の開発等を行う等

(3)「高度経営・管理活動」 : グローバルな事業展開を行う企業等の経営者

②更に満たすべき要件とは

(1)(2)の人

・修士号以上取得かつ年収2,000万円以上の方
・従事しようとする業務等に係る実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上の方

((3)の人)  

事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上かつ、年収4,000万円以上の方

  • ③拡充した優遇措置とは?

「高度専門職1号」の場合
  1. 複合的な在留活動の許容
  2. 在留期間「5年」の付与
  3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
  4. 配偶者の就労
  5. 一定の条件の下での親の帯同
  6. 一定の条件の下での家事使用人の雇用
  7. 大規模空港等に設置されているプライオリティレーンの使用
  8. 入国・在留手続の優先処理

 ・在留資格「高度専門職2号」の場合

※「高度専門職2号」は「高度専門職1号」(特別高度人材)で1年以上活動を行っていた方が移行できる在留資格  

  1. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
  2. 在留期間が無期限となる
  3. 上記3から7までの優遇措置が受けられる


6.未来創造人材制度(J Find )/特定活動の導入 2023/4~

優秀な海外大学等を卒業等した方が、日本で「就職活動」又は「起業準備活動」を行う場合、在留資格「特定活動」(未来創造人材)を付与され、最長2年間の在留が可能となります。

出入国在留管理庁HPより

条件

①3つの世界大学ランキング(※1)中、2つ以上で100位以内にランクインしている大学(※2)を卒業、又はその大学の大学院の課程を修了して学位又は専門職学位を授与されていること。
(※1)世界大学ランキング
    (1)クアクアレリ・シモンズ社公表のQS・ワールド・ユニバーシテイ・ランキングス(https://www.topuniversities.com/university-rankings)
             (2)タイムズ社公表のTHE ワールド・ユニバーシテイ・ランキングス(https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings)
             (3)シャンハイ・ランキング・コンサルタンシー公表のアカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシテイズ(https://www.shanghairanking.com/rankings)

②上記の対象大学、大学院の課程を卒業後、5年以内

③滞在当初の生計維持費として、申請時、申請人の預貯金の額が日本円に換算して20万円以上あること。


7.デジタルノマドの新設

国際的なリモートワーク等を目的として本邦に滞在する人及びその配偶者・子は最長1年日本に滞在することができます。

出入国在留管理庁HPより

条件

①外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体との雇用契約に基づいて、日本において情報通信技術を用いて当該団体の外国にある事業所における業務に従事する活動
又は
・外国にある者に対し、情報通信技術を用いて役務を有償で提供し、若しくは物品等を販売等する活動
※ 活動内容について、日本に入国しなければ提供又は販売等できないものを除く
※ 資格外活動許可は原則認められない。日本の公私の機関との雇用契約等に基づく就労活動は不可。

②対象国国籍者であること 

https://www.moj.go.jp/isa/content/001416527.pdf

③申請時、申請人個人の年収が1,000万円以上であること

④死亡、負傷及び疾病に係る海外旅行傷害保険等の医療保険に加入していること(滞在予定期間をカバーするもの)。
※ 傷害疾病への治療費用補償額は1,000万円以上が必要。

入管オンライン申請のマスコットキャラの名前知ってますか?

ところで入管オンライン申請のポスターやマニュアルによく出てくるこの子の名前を知ってますか?

この子、卵かと思っていました。調べたらオンラインコだそうです。名前は『らすっぴ』
かわいいですね~。(*^^*)

“入管オンライン申請のマスコットキャラの名前知ってますか?” の続きを読む

入管のオンライン化最新情報2024年6月。

申請はオンラインでできます。永住のオンライン申請は2025年度から予定。申請も結果交付も予約できます。在留期限をメールでお報せしてくれるサービスも開始しました!

*2024/6現在の情報です
*条件等すべて記載しているわけではないため、詳細は入管庁HPでご確認ください。

1.オンライン申請 ー事前に利用者登録をした人が可能

入管の申請がオンラインで可能になってからとても便利。

メリットはというと、

①東京入管での申請は皆さまご存じのとおり数時間待つ。スマホの電波もつながりにくく、仕事もしづらい。

→土日祝日関係なく24時間申請可能に。時と場所(日本国内に限る)を選ばない。

②東京入管での新しい在留カード受領は皆さまご存じのとおり数時間待つ。

→在留カードを郵送で受領可能。

③認定証明書は受領後、本人の国まで郵送する必要があり、時間、手間、費用がかかった。→

メールで受領し、大使館もメールでVISA貼付可能。

*これはオンライン申請に限りません。
 2023年3月17日からとまだ1年なので、ご存知ない人もいるかもしれません。

④資格外活動許可も郵送で受領可能に。2024年1月から

 *オンラインでは資格外活動許可のみの申請はできません。

事務所でいつでも申請できるのは本当に助かります。今年はなぜか元旦にオンライン申請し、申請No.1番をもらいました(笑)。

ただ事前に利用者登録が必要です。外国人の方はマイナンバーカードが必要です。

オンライン手続きはこちらから 

https://www.moj.go.jp/isa/applications/online/onlineshinsei.html

2.申請予約ー在留カードを持っている方全員可能

東京入管へ行く前に申請予約ができます。予約は在留カードを持っている人が誰でもできます。

これも便利。待ち時間数時間が、多くの場合1時間以内になります。
入管の職員は予定してくれているので、予約をキャンセルする際はきちんとキャンセル手続きをしましょう。

申請予約    https://www.tokyoimmi-yoyaku.moj.go.jp/

3.結果交付の予約ー申請等取次者証明書を持っている人のみ可能

申請だけでなく、結果交付の予約もできるようになりました!

3つの条件

①結果交付時に有効な【申請等取次者証明書】又は【届出済証明書】を所持していること
(※外国人受入れ教育機関の申請等取次者は、本システムのご利用対象外です)

②東京出入国在留管理局の【窓口】で申請したもの

*在留諸申請オンラインシステムによる申請は対象外です。

③東京出入国在留管理局のAカウンターが交付窓口となっているもの

交付予約    https://www.tokyoimmi-cardyoyaku.moj.go.jp/

 オンライン申請が対象外なのが残念ですが、結果交付も数時間待つので、予約できるだけでもありがたいです。オンライン申請の受領予約は今後に期待です。

*入管の職員は予定してくれているので、予約をキャンセルする際はきちんとキャンセル手続きをしましょう。

4.入管庁メール配信サービスに在留期限をメールでお知らせも追加

メール配信を登録すると、外国人の方、雇用する企業等にお役立ち情報をメールで配信してくれるそうです。私も登録したばかりで、まだ何の情報もきていませんが。^^;

さらに在留期限を登録すると、期限の3か月+2週間前にメールでお知らせしてくれるそうです。

これは便利そう。免許証は通知が来るから良いけど、在留期限は自分で管理しないといけません。在留期間1年なら忘れにくいけど、3年、5年となると忘れがちですよね。

ぜひ登録して在留期限ぎりぎりに慌てることのないようにしましょう。^^

5.ところでオンライン申請したら特例期間中はどう証明すれば良い?

オンライン申請をした場合、入管窓口で申請を行った場合に押印される、在留カードの裏面の「申請中」の印が押されません。

そのため、オンラインで申請を行った場合は、在留カード+申請中(特例期間を含む)であることを証明する「申請受付番号等が記載された受付完了メール」を常に携行してください。

6.特例期間とは?

在留カードを所持している外国人が、在留期間更新または在留資格変更許可申請をした場合、申請結果が在留期間の満了の日までにされないときは、当該結果がされる時か在留期間の満了の日から二月が経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き従前の在留資格をもって合法的に日本に在留できます。

*在留期間30日は特例期間の対象外です。

在留期限が過ぎたら住民票が消除されます。外国人の方のマイナンバーカードの有効期限は、在留期限までなので、My No.カードも使えなくなります。

在留期限が切れる前に結果が受領できるよう、早めに申請することをお勧めします。

7.特例期間中に再入国できますか?

入管HPより https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html

「在留期間更新許可申請中又は在留資格変更許可申請中であっても、再入国許可による出国又はみなし再入国許可による出国は可能です。

(1) 再入国許可を受けて出国する場合

再入国許可期限までに

(2) みなし再入国により出国する場合

従前の在留期間の満了の日から2月を経過する日又は出国の日から1年のいずれか早い日までに再入国してください。

なお、再入国後、従前の在留期間の満了の日から2月を経過する前に、必ず、申請先の出入国在留管理局に行き、申請の結果を受け取ってください。在留期間の満了の日から2月を経過してしまうと、申請を行っていても不法残留となってしまいますので、ご注意ください。」

技能実習生にいつも言うことですが、入管法はついうっかりしたことでも退去強制の対象となります。

申請しているから大丈夫だろうではなく、申請してから特例期間の期限も自分でしっかり管理しないと不法残留=オーバーステイとなり、退去強制の対象となります。

5-7については企業からのお問合わせも多いです。海外の空港でもまだ聞かれることがあるかもしれないので、リンクは保存しておいた方が良いと思います。

*2024/6/12の情報です。

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