2023年5月発表の技能実習廃止、転籍緩和は一極集中を防ぐ対策要

2023年5月、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議から 技能実習制度を廃止するという中間報告が発表された。

主な変更内容は以下4点です。

①技能実習の主旨を「人材育成を通じた国際貢献」から「人材確保と人材育成」を目的とする新たな制度を創設

②転籍を原則不可→転籍制限は残しつつ従来より緩和

③監理団体や支援機関を厳しく適正化または排除

④日本語能力の向上

①技能実習の主旨を「人材育成を通じた国際貢献」から「人材確保と人材育成」を目的とする新たな制度を創設

「国際貢献と技能移転」という建前があるから、技能実習生は技能実習終了後1回帰国する必要があり、企業と本人がもっと日本にいたいと願っても在留資格の変更はできない。

ただ、特定技能は例外で、技能実習から変更が可能だが、建設、造船以外は特定技能1号しかなく2号がないため、在留期間5年の上限がある。

しかし2023年4月、全業種に特定技能2号を認める方向性を、政府は示した。

そうすると1号で5年、2号は5年を更新できるため、永住も視野に入ってくる。

在留期間の上限がなくなり、ずっとその会社で働くことができるなら、キャリアアップ制度があり、キャリアアップの基準がはっきりし、頑張れば報われる会社に長くいたい、と思う外国人も増えるだろう。

②転籍を原則不可→転籍制限は残しつつ従来より緩和転職制限

転籍を自由にすると実習生は給与の高いところや東京に一極集中する。

石の上にも3年という言葉があるが、1か所で働くことで悩んでいた問題が解決でき、できなかったことができるようになり得られる達成感もあるはず。

一定年数で転職可能にするのか、上限を定めるのかわからないが、自由にする弊害も考慮に入れ、地方やNo.1ではないが、お金では測れない良い価値を持つ中堅企業にも人材が広がるようにして欲しい。

③監理団体や支援機関を厳しく適正化または排除

技能実習制度では、監理団体は毎月、もしくは3か月に1回は企業に監査に行くことが求められているが、3年間1回も見に来たことがないという受入企業の社長もいる。なぜ監理団体が企業に行かないかというと、来ない方が楽という企業があるからだという。

そのような企業が多かったから、ブラック企業が跋扈し日本の賃金は30年も上がらなかったのではないか。

残業代、休日手当は労働法のとおり払うのが技能実習制度では当たり前。技能実習機構の監査や入管のチェックも厳しい。

サービス残業という言葉があり未払いの日本人もまだ(多分)多いことを思うと、技能実習生の方が日本人より待遇は良いのでは、と数年前から思っている。

最近ようやく残業代はきちんと払い、賃金を上げていこう、材料価格等の高騰は価格に反映しようという世間の流れになってきたと思う。

34年間ずっと日本の賃金は横這い。それに比べて他国の賃金はきちんと上昇している状況が変われば良いと思う。

登録支援機関については、登録支援機関がいい加減に作成したため在留資格が不許可になった書類が回ってくるという知人もいるため、監理団体と同じように許可性にしたほうが良いだろう。

④日本語能力の向上

言葉は文化を理解することにつながる。ドイツがイスラム圏の外国人を大量に受け入れた後、ドイツ語を話せない外国人がドイツ人と敵対し、ドイツの治安を脅かした。その教訓からドイツは外国人に計200数時間のドイツ語教育受講を義務づけた。

言葉がわかるとコミュニケーションによるギャップや労災は減り、外国人の教育の機会も増える。日本語能力の向上を必須項目にしたのはとても良いことだと思う。

技能実習生に法的講習をする際、せっかく日本にいるのだから、日本でしかできないことを体験し、日本でしか食べられないものを食べるように勧める。

漢字も外国人にとってはチンプンカンプンで絵にしか見えないかもしれない。

私達が、アラビア語やネパール語、ベトナム語を見てそう思うように。

が、技能実習生には、感じは意味があるので覚えると、見ただけで意味が大体わかって面白いよ、とサンズイや雨カンムリの字を紹介する。

海、湖、池、津,江,波,流、清,満,澄,,深,渚,瀬

雪,雫,露,雲,雷,零,霞,霧,霜

通訳さんにも知ってるか聞くと、以外と知らない人もいて面白い。

ミャンマーはご存じのとおり、2021年2月、軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチーさんを幽閉し、政権をとった。マスコミではほとんど報道されないが、軍と民間人の戦いは激しいという。

そのため、ミャンマー人はミャンマー国籍だというだけで、1年の特定活動がもらえるようになった。

来日後、技能実習から特定活動に変更するミャンマー人も多いという。

技能実習は分野が決まっており、それ以外の職種では働けないが、ミャンマーの特定活動は業種に制限がないからどこでも働ける。転職の制限もない。

受入企業も特定活動の方が、技能実習日誌など毎日つけなくてすみ、また技能実習機構に提出する膨大な紙や制約から自由になり、労働法だけ守ればよいため楽である。

ただ、これはあくまで人手不足の分野だから問題がおきていないけれど、

外国人が好きなだけ日本に入って来たらどうなるか、日本人の雇用、経済、治安は?、という問題意識はいつも持ち続ける必要があると思う。

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